室町時代は職人の文化です。
行商人など、現代にも通じるような数多くの職業が発達し、それに伴って多くの職人が活躍しました。
それは鎌倉時代に入る少し前、鎌倉時代の後期から「職人歌合」という職人尽くしの絵が現れたことからもわかります。
その中でも、女性の職人はどんな服装をしていたのか、見ていきましょう。
職人の服装、そうやってわかるの?
先ほど、室町文化は多くの職人が活躍した職人の文化だといいました。
では、その職人たちが当時どんな服装をしていたのか、どうやったらわかるのでしょう?
何かの文学作品などに書いてあるのでは、と考えた方、もちろん正解です。
でもここで是非知ってもらいたいものが、絵巻物。
室町時代に職人が活躍した事は、室町時代末期に作られた「七十一番職人歌合」という有名な絵からも読み取れるんです。
そもそも職人歌合とは、各種の職人のなりわいの様子を織り交ぜつつ左右に分かれて歌を詠みあい、勝ち負けを決めるという歌合の形式をした絵巻物です。
もちろん絵巻物なので、描かれている職人の服装もしっかり見る事が出来ます。
職業別、室町時代のメジャーな服装紹介
「七十一番職人歌合」の中には女性の職人が描かれているものも多く、その服装もさまざま。
その中でも、小原女、と呼ばれる職業の女性の服装を見てみましょう。
大原女とは、大原で取れた農作物などを頭に載せるというスタイルで京の町まで売りに来た女性の職業です。
この大原女の服装は帯を前で結んだ紺色の筒袖に足は脚絆にわらじ履きというスタイルが一般的だったようです。
このように、職業別で服装が分かれている事で、見かけたらすぐ何の職業の人か見分ける事が出来ます。
今でいうユニフォームですね。
服装から読み取れる事は職業だけではない?
先ほど紹介した大原女のように、室町時代では女性は物を売る職業についている方がとても多かったようです。
そして、そんな女性たちの服装から読み取れる事は職業だけではないんです。
例えば女性の職人で魚売、米売、豆腐売などの物を売る職人の服装は一般に小袖姿に桂巻のかぶり物をしています。
ですが、帯売、扇売、おしろい売り(白物売)など、女性を相手にする身だしなみ関係を扱う職業の女性職人は垂髪であり、小袖の上にもう一枚小袖をはおるなど、魚などを扱う職人よりもより女性らしさをあらわした服装をしているのです。
それは買い手となる同性の女性の目を意識し、見栄をはったのか、それとも自らがより美しくなることで、より多く売ろうというシビアな商売人としてのものなのか・・・。
服装をみることで、時として売り手である女性の心中をも知る事が出来るのです。