室町時代頃から、日本の農業には沢山の変化が起こっていきました。
その頃には、行商人が増えたこと、農作物などの流通ルートが広がったことなどがあり、その影響もあって農業も変わっていったのです。
では、そんな変化のあった室町時代は、鎌倉時代の農業と比べてどんな違いがあるのでしょう。
鎌倉時代の農業は?
まずは室町時代の前、鎌倉時代の農業を見てみましょう。
鎌倉時代は蒙古襲来の前後から農業が発展していった時代でした。
その頃、畿内や西日本一帯では裏作として麦を育てる二毛作が広まっていました。
そして育てている作物に与える肥料には草を刈って田に敷きこむ刈敷や、草木を焼いて灰にした草木灰が利用されており、その原料には山の草や木が使われていました。
そして鎌倉時代頃、西日本では広く飼育されていた牛を使って畑を耕す牛耕が広がっていったのです。
また、農村には手工業者も多く住んでいて、農村の中で商品を作り、売りにいくという生活をしていました。
室町時代の農業は?
では、鎌倉時代を過ぎ、室町時代にはいったら、農業はどんな変化を遂げていたのでしょう。
室町時代の農業の特色は、より民衆の生活と結びつき、土地の生産性が向上、育てる作物もそれまでより種類が増えたことです。
室町時代には作物を育てる環境にも変化があり、灌漑や排水施設の整備や改善が行われました。
この事によって、畿内では三毛作も行われるようになっていきます。
育てる作物の種類も増えるだけではなく、水稲の品種改良も進んでいました。
更に、肥料には下肥が広く使われるようになっていきます。
これによって土地にはそれまでより作物を育てる力がつき、作物の収穫量も増えていきました。
また、鎌倉時代にも使われていた、牛を使って畑を耕す牛耕ですが、室町時代には更に普及が進んでいました。
西日本では牛が、東日本では馬を使って畑を耕す農民が多かったようです。
更に、手工業に使われる原料となる苧・桑・漆・藍なども育てられ、商品として流通していました。
室町時代と鎌倉時代の農業の違いのまとめ
こうして室町時代と鎌倉時代の農業をいくつかあげてみてみると、その二つの時代の農業における変化がよくわかります。
鎌倉時代では畿内や西日本では二毛作が広まっていましたが、室町時代では排水設備など、作物を育てる環境がさらに整い、三毛作を行うところも出てきています。
使われている肥料も鎌倉時代と室町時代では違ううえ、手工業者は鎌倉時代にはすでに農村に住んでいましたが、室町時代にはその手工業者達が使う原料である藍や漆などの栽培も進んでいました。
普段、歴史の中でも注目を浴びにくい農業ですが、丁寧に見ていくと時代によってそれぞれ違いがあらわれ、進歩してきたことが分かるのです。