室町時代に発達した文化の中には、私達が生きている現代までも受け継がれているものが数多くあります。
今、癒される、と人気の日本庭園の文化もその一つ。
ここでは、室町時代の日本庭園の発達について紹介していきます。
なんと、誰でも知っているほど有名な特徴を持つ日本庭園のスタイルもこの時代に発達したんですよ。
その特徴はシンプルイズザベスト!?
室町時代に発達した日本庭園スタイルには、誰でも知っていて、これこそ日本庭園の文化、という人もいるくらい有名なスタイルがあります。
その日本庭園の特徴は、シンプルイズザベスト。
そう、もうお分かりかもしれませんが、「枯山水」スタイルです。
枯山水について簡単に説明すると、岩や砂利などを配置することによってそこにはない水の流れなどを想像させる特徴をもつ庭園スタイルです。
現代になってもなお古びず、有名なこのスタイル、室町時代初期にかけて存在した夢窓疎石という人物が考案したものなんです。
この夢窓疎石、という人物は庭を造る作庭師でもありますが、臨済宗の僧としてもよく知られています。
それもなかなか凄い僧だったようで、人の師となり手本とすべき僧に贈られる「国師」という称号を贈られています。
それも一つではなく、複数の天皇から七つの国師号を贈られ、「七朝の国師」と呼ばれたそうです。
そんな夢窓疎石が発案し、初めて造りだしたのが枯山水という特徴をもった日本庭園なんです。
いままでにない特徴をもつ枯山水、発想はどこから?
室町時代の同時期に発達した日本庭園はもう一つあり、そちらは池泉回遊式庭園と呼ばれています。
こちらの造園スタイルの特徴は、庭の中に池を配置しており、庭を歩いて巡る事で、自然の美しさなどを感じ取れるようにしてある事です。
同じ室町時代に発展した庭園の文化なのに、全く違う特徴をもつ枯山水と池泉回遊式庭園。
一見なんの共通点も無い二つの庭園スタイルですが、実は共通点があります。
それが現代まで受け継がれている「禅」の思想なんです。
枯山水も池泉回遊式庭園のどちらも禅のこころを表しているといわれています。
僧であった夢窓疎石は庭を造る際にも禅の世界を表現しようとしたのでしょう。
室町時代の庭園
これまで、室町時代に発達した日本文化の一つである日本庭園について、枯山水を中心に説明してきました。
その根底には禅の世界が表されている事、室町時代のたった一人の僧侶がその特徴をもつ枯山水の発達に貢献してきたという事。
また、夢窓疎石は枯山水だけでなく、池泉回遊式庭園も得意としており、現代でも有名な日本庭園のなかにも、夢窓疎石が手掛けたものがいくつも残っています。
室町時代の庭園には禅というキーワードが隠されているのです。