「こんにちは」や「おはようございます」など、私達は日常生活で様々な挨拶をかわしています。
挨拶にはいろいろ種類があり、挨拶をかわす時間や相手の立場などの様々な条件にあった挨拶を使い分けながら私達は生活しています。
でも、昔、例えば室町時代には、挨拶は今とは少し違う言葉ややり方をしていたようです。
室町時代、一体人はどんな挨拶をしていたのでしょうか。
あの言葉はいつ生まれた?
ほぼ毎日私達は何かの挨拶を交わしながら生活しています。
挨拶は人と関わっていく為に大切なもの。
その思いは昔から一緒だったようです。
例えば鎌倉時代の武家の家訓である「極楽寺殿御消息」という書物からは誰であっても目にした人には挨拶をすることが礼儀だと書かれています。
また、それから少し時代を進めて江戸時代には、現代でも使われる「おはよう」という言葉が書物にたびたび登場してきます。
では、その間の室町時代にはどんな言葉が挨拶に使われていたのでしょう。
その頃には女房ことば、といって宮中の女官が使っていた言葉があります。
その中に、室町時代に使われた挨拶の言葉があります。
その言葉が、「ごきげんよう」という挨拶でした。
現代では、あまり日常的には使わないものの、言われたら誰にでも通じる言葉となっています。
テレビなどで聞いたことがある方が多いかもしれませんね。
少しきどった人が使っていたり、改まった席で使われていたりと、そんなシーンで使われていることが多いと思います。
由来をたどって見ると宮中に仕えるという、庶民より上の立場の人によって使われ始めた言葉だったのです。
そうして誕生した「ごきげんよう」は、江戸時代になり、徐々に庶民に広がっていったのです。
礼儀にも流派があった?
鎌倉時代には挨拶することが礼儀の一つと書かれた書物が残っているくらい礼儀には厳しい武士ですが、更に時代が進んだ室町時代では礼儀作法で有名な流派が誕生します。
いくつかある流派のうち、室町時代には小笠原派という流派の礼法が武士社会の規範とされていました。
その中で挨拶の仕方では様々な挨拶の仕方があり、自分と相手との間柄、状況などによってどんな挨拶をするかが変わるのです。
例えば人とすれ違う時の挨拶にしても、どんな角度で頭を下げるべきかなどが細かく決まっていました。
こうした挨拶の仕方は大きく分けて3つ、「真・行・草」に分けられ、実践されていたのです。
現代でも「真・行・草」という三段階にわけるという考え方はさまざまな伝統文化のなかに残っていますが、室町時代の挨拶もその一つだったのです。
相手を敬い、尊敬しているという事を態度で表す事の出来る挨拶。
その挨拶からは相手と自分の立場など、様々な事を読み取る事が出来るのです。