普段の生活でふつうに使われている言葉たち。
私達が何も考えず使っている言葉の語源について、考えてみた事はありますか?
身近な言葉にも、思ったよりも古く、意外な歴史があるかもしれません。
例えば語源を調べてみると、歴史をさかのぼって室町時代にまで行きつくことも。
そんな言葉のなかで、身近な食べ物に関する語源を集めてみました。
誰もが知る日本のあの携帯食も語源は室町時代に!
室町時代にまで遡る語源をもつ食べ物の中に、日本にとってとても身近なあの食べ物もありました。
それが、「おむすび」。
歌に出てきたり、今ではコンビニで売られていたりと、昔からとても身近にあった食べ物であり、携帯食としても広く知られている食べ物です。
そんなおむすびの語源は、実は室町時代にまでさかのぼります。
おむすび自体は室町時代以前からありましたが、握り飯など、少し違った呼び方をされていました。
それがおむすびと呼ばれるようになったのは、宮中の女性が使っていた女房ことばに端を発しています。
この時代、宮中の女性の中で使われていたのが女房ことば。例えば、ごきげんよう、というあいさつの言葉も時代をさかのぼって調べていくと女房ことばに行きつくのです。
宮中の女性たちが使っていた言葉はその時代に一般的に使われていた言葉をより上品に言い換えたものが多く、庶民の女性たちは憧れをもってその言葉や着物の柄をまねたりしたこともあり、今では一般的に使われている言葉も沢山あるのです。
あのお菓子の語源は苦い薬だった?
更に室町時代までさかのぼる語源を持つ食べ物には、「ういろう」があります。
あまくてお茶菓子にぴったりの和菓子ですが、実はその語源はまったく想像もつかない物にあるのです。
ういろうを漢字で書くと「外郎」となります。
実はこの「外郎」、もとは苦い薬の名前だったのです。
最初は中国の職のひとつだったのですが、室町時代に帰化した元王朝の役人が家名として「外郎」と名乗ったのが始まりでした。
この「外郎」さんは日本で薬を売り出したのですが、その際、薬の名前を「外郎」として売り出したのです。
そしてこの薬というものがそうとう苦かったようで、口直しとして食べられたものこそ、今ある和菓子の「外郎」でした。
甘い和菓子の語源をたどると、中国の職名から人の名前、そして薬の名前を経てお菓子の名前になるという全く違うものを指しながら今の形に落ち着いた歴史が見えてきます。
語源をたどるとおもしろい
いかがだったでしょうか。
普段なにげなく食べているものの名前にも深い歴史があって驚いたのではないでしょうか。
宮中にいる女性たちが「握り飯」をもっと上品な名前にしたい、と思わなければ。
また、「外郎」さんの売り出した薬がそれほど苦くなかったら。
振り返って考えると、言葉の語源はふとしたきっかけで変わるような些細なものでした。
今私達が使っている言葉は、そんな些細な偶然によって今の形に落ち着いたのです。