室町時代は現在日本の伝統的な文化だといわれているものの多くが発展、誕生した時代でした。
そんな文化の中でも武士や上流階級だけではなく、庶民にも親しまれていた文化があります。
庶民は身近にあったそんな文化をうまく使いこなし、時には庶民に共通する問題を笑い飛ばすために利用したりして日常を過ごしていました。
そんな室町時代の文化のうち、今回は連歌を中心について見ていきたいと思います。
連歌とは何だろう
連歌というのは歌のかたちをとった詩のひとつで、一人だけではなく、多くの人が歌をつないでいく連作のかたちをしたものです。
もともと連歌の起こりは鎌倉時代でしたが、室町時代になって庶民も巻き込み、流行しました。
室町時代の文化のうち、武士だけでなく、庶民も一緒に楽しんだ文化の一つであったのです。
室町時代の将軍たちも歌会を開いたり、時には自分自身で連歌を詠むなどしていた事が知られています。
その人気ぶりはここからもわかる!
そんな庶民も楽しんだ連歌。
その人気ぶりがわかる意外なものがあります。
それが狂言。
狂言には連歌好きな庶民たちがでてきて、問題を引き起こす姿が滑稽な話もあります。
例えば、「盗人連歌」もその一つ。
この話に出てくるのはもちろん連歌が好きな庶民です。
ここに出てくる連歌好きの庶民が問題を起こすのですが、うまく連歌を読むことによってそれを許してもらえる姿がでてきます。
そんな狂言がある事からもどれだけ連歌が庶民の間で親しまれていたのかを知る事が出来ます。
政治批判もユーモアにくるんで表現
連歌が武士だけでなく庶民の間にも広まり、流行していた室町時代。
そのように一種の教養が身についていた時代には政治批判や問題を提起したりすることもユーモアにくるんで表現していた事もありました。
例えば二条河原落書もそのひとつ。
二条河原落書は政治批判を一種の詩のかたちでかいている文であり、匿名で人通りのあるところに掲げられた文書です。
このように匿名で人通りのあるところに文書が掲げられる事がこの時代にはありましたが、特にこの二条河原落書は有名です。
その文書の内容や読み方から歌に精通している人物だといわれていますが、注目していきたいのはその内容。
政治だけではなくその時代に新しく誕生した文化や風習、そしてそれに振り回される武士や庶民の姿を批判的に、ユーモアにくるんで描いているのです。
このように歌が身近なものになり、庶民も親しむようになりました。
そんな中で、この二条河原落書のように、何かを訴えたい、伝えたい問題に対してユーモアにくるんで匿名で批判するなど、面白がりながら問題提起を行う人々の姿があったのです。