女性はいつだって今よりもっときれいになりたい、と願うもの。
その思いは室町時代の女性も同じです。
化粧はそんな女性がきれいになる為に使う武器の一つ。
果たして室町時代にはどんな化粧をしていたのか、今とはどんな違いがあるのか、見ていきましょう。
歯が黒い!これが当時のきれいさ?
室町時代の女性はどんな化粧をしていたのかについてはさまざまな資料から見てとる事が出来ます。
例えば、このころよく書かれた職人の絵が描かれている職人歌合もそんな資料の一つです。
この職人歌合には、白粉や紅などを売る女性が描かれているんです。
そのことからも室町時代には白粉や紅などが使われていた事がわかります。
そしてもう一つ。
現代では見られない化粧として、お歯黒があります。
お歯黒とは、ご存知の方も多いと思いますが、女性の歯(まれに男性の歯を黒く塗る事もありました)を黒く塗る化粧法です。
このお歯黒、室町時代以前からも化粧方法として使われており、まず位の高い、貴族の女性がするものでした。
そのあと、徐々に庶民の女性の間にも広がっていったようです。
初め、お歯黒をすることは一人前の女性として認められた証であり、成人した事を示すものでもありました。
しかし、お歯黒をする年齢は時代とともに変わっていき、17,18歳でお歯黒をすることもあれば、既婚女性を示すものになったりもしました。
さて、肝心の室町時代においては、女性が13歳~14歳くらいの年齢の時にお歯黒をする事が一般的だったようです。
今現在、成人とみなされるようになる私達の年齢よりもずいぶん若い年代です。
美女になるのはいろいろつらい
室町時代には女性の化粧といえば白粉、紅、お歯黒だったとわかりました。
でも、美人に見せるためにそれらの化粧品を使うのもいろいろと苦労があったようです。
例えば、唇にさす紅。
値段はピンからキリまでさまざまだったようですが、上質の紅は金一匁、紅一匁」といわれるほど高価だったようです。
とても一般女性が気軽に手に入れられるものではありません。
また、今とは違って、昔の白粉には材料に鉛や水銀が含まれていた事がわかっています。
どちらも有毒であり、使い続けると死んでしまうこともある物でした。
でもやっぱりきれいになりたい!
さて、室町時代の女性の化粧について見ていきました。
化粧品の材料が有毒だったり、今の美意識では考えられない、歯を黒く染めるというお歯黒が一般的な化粧だったり。
今現在とは随分違うところもいろいろあったようです。
けれど、いつの時代もやっぱり変わらないのは女性たちの「きれいになりたい!」という気持ちでしょう。
よりきれいになる白粉を、より鮮やかな紅を・・・。
そんな女性たちの美に対する思いは、今と昔でも、なんの違いも無いようです。